2025-12-01から1ヶ月間の記事一覧
第一章:銀輪の騎士、赤字により出動 ディープ・トーキョー、第肆層(フォース・レイヤー)。 人工太陽の光が届かない路地裏に、近未来的な電子音が響き渡った。 『ピロリン♪ リクエストを受信しました。報酬320円。距離2.5km』 ツチノコワークスの主、サク…
第一章:完全空調の『大自然』へ 「空気が……美味い! マイナスイオン濃度が通常の3倍だぞ、コノ!」 ディープ・トーキョー、第玖層(ナインス・レイヤー)。 地下都市の最深部に近いこのエリアに作られた、巨大なドーム型施設。 その名も『ジオ・フォレスト…
第一章:眠れる法廷のツチノコ ディープ・トーキョー、第陸層(シックス・レイヤー)。 官公庁や行政機関が集まるこの階層は、他のエリアの雑多なネオンとは異なり、無機質な白いLEDと、書類の乾いた匂いに満ちている。 その一角にある重厚なコンクリート造…
第一章:蛍光グリーンの憂鬱 ディープ・トーキョー、第参層(サード・レイヤー)。 ここは商業地区と居住区が入り混じる、地下街でも特に人口密度の高いエリアだ。 配管から滴る水滴がネオンに照らされ、雑多な人々の声が反響している。 そんな雑踏の中に、…
第一章:移動する秘密基地 「見ろよ、コノ。この果てしなく続くコンクリートの回廊……これぞ、男のロマンだ」 ハンドルを握るサクは、サングラス(地下なので本来不要)をかけ、悦に入った表情で呟いた。 「サク、ここは『首都高・地下湾岸線』の渋滞最後尾で…
第一章:ログイン、第伍層の片隅にて ディープ・トーキョー、第伍層(フィフス・レイヤー)。 普段は配管からの水漏れ音と、換気扇の低い唸り声しか聞こえない薄暗い広場だが、今日のサクの目には全く違う景色が映っていた。 「……見える。見えるぞ、コノ。あ…
第一章:その男、スタンプにつき ディープ・トーキョー、第肆層(フォース・レイヤー)。 ここは地下都市の中でも商業施設と居住区が入り混じる、庶民的で活気のあるエリアだ。 その一角にある広場は、今、異様な熱気に包まれていた。 『第108回 底街・大健…
第一章:ミッション・インポッシブル(物理) ディープ・トーキョー、第肆層(フォース・レイヤー)。 ここは地下都市の文教地区であり、無機質な配管が剥き出しの天井の下に、コンクリート造りの校舎が並ぶ「第肆層都立地下高校」、通称「チカ高」がある。 …
第一章:スーツ姿の傭兵ディープ・トーキョー、第弐層(セカンド・レイヤー)。 ここは地下都市の経済を回す巨大企業ビルが林立する、コンクリートと強化ガラスのジャングルだ。その中でも一際高くそびえ立つ「ジオ・フロント重工」のメインエントランスを、…
第一章:沼へのダイブディープ・トーキョー、第七層(セブンス・レイヤー)。 そこは、地下都市の電圧が最も不安定で、最も熱い場所。通称「アキバ・ディープ」。無数のネオンサインが「最新GPU入荷」「ジャンクパーツ量り売り」「メイド喫茶・機械仕掛けの…
第一章:伝説の地下銭湯、起動 ディープ・トーキョー、第参層のさらに下、秘密の連絡通路の先に、その楽園はあった。 スーパー銭湯「底熱極楽湯(そこねつごくらくゆ)」。 底街の住人なら誰もが知っている、知る人ぞ知る——ってか、普通に知られている——極上…
第一章:モグラを掘り起こすツチノコ ディープ・トーキョー、第参層(サード・レイヤー)。ここは古都の地下街でも比較的明るく、文化的な施設が集まるエリアだ。その中でも一際異彩を放つのが、巨大な円形ドーム状の「底街中央図書館」、通称「チカトショ」…
第一章:第伍層の無人店舗にてディープ・トーキョー、第伍層(フィフス・レイヤー)。底街の中でも住人が少なく、古くからの資材運搬経路と廃墟化した商業施設が入り組む、陰鬱なエリアだ。この層の唯一の生命線とも言えるのが、24時間稼働している無人コン…
広い公園の真ん中付近に 屋根付きのベンチスペースがあって。 そこに座り込むのが私にとっての贅沢の一つです。 雨の日には公園に誰もいないので。 そこで自宅から持参した水筒を取り出して コップに注ぐ。 中身は甘めに作ったホットカフェオレだ。 公園には…
黒猫がそう言うと、その夜は必ず雨が降った。 通り道のコンビニでビニール傘を買って良かったと思ったのが、丁度一か月前、黒猫との出会いの日だった。 「週末、商店街に新しい店が開く」 黒猫がそう言うと、週末には商店街に小さな雑貨屋さんが出来ていた。…
以前、私が大学生の頃、夜の東京を友達とふらふら歩いていたときのことです。9時くらいまでだらだら話しながら、目的もなく歩いていたのですが、明日も授業があるし、そろそろ家に帰ろうか、とりあえず一番近いJRの駅に行こう、ということになりました。スマ…
東北のド田舎に住む私は、仕事と一人暮らしの疲れが相まって心が疲れて少しの休暇を頂きました。 極寒の地で壁の薄いボロアパートに住んでいる私にとって玄関は脱衣場。ドア1枚向こうに心身と雪が降っている中、全裸で風呂場を出入りすると心臓が掴まれるよ…
私が大学1年のとき、山陰本線を完全制覇しようと思い郷里の山口市から下関の一駅手前の幡生から、下関発益田行きの普通列車に乗って終点の京都駅に向かった。見慣れた山口県内の線路脇には牡丹の花が咲いていて、道中、車掌さんに東京駅までの乗車券を見せ…
何気ない日々を楽しむ 平日と休日では起きる時間も一日の予定も行動範囲も食生活も大きく変わってくることが当たり前の様に存在する。 日常過ぎて何となく日々生きている人がいたり。そんなありきたりな日々が嫌な人もいたり。 そんな世の中で一人の青年は独…
ある日私は窓をあけた するとそこには闘う者たちの姿が 闘いを通じていずれ彼らは… ---- ある日私は部屋の窓を開けた 人と獣が戦っていた 人が傷つき苦しんでいた 私は人に回復魔法を唱えた 人は状況を冷静に判断しその場を去った ---- ある日私は部屋の窓を…
「そこの君。何かお困りかな」 紳士は少年に問う。「妹が欲しがっていた物が売り切れてた」 「マスター(店長)。彼に例の物を」 「良いのですか?」 「構わないさ。プレゼントはこれでいいかな?」「いいの?」 「あぁ。いいさ。僕は通りすがりのサンタさんの…
高校生の柳田君は学校帰りにスーパーに寄った。 これはいつもの日常。ユーモア溢れる人たちの物語です。決して大手程大きいとは言えないが地域住民から支持されているちょっと変わったサービスが評判のスーパーのお話。 ----- 柳田君はスーパーで買い物をし…
江戸時代後期主人が営んでいる屋台が橋の下にあった。 偶然訪れた武家の若者が尋ねた。「主人。つかぬ事を聞くがどうして橋の下に店を構えている?」「慈善事業にちょうど良いからです」「うむ?」 ポツポツと急に天から川に水滴が落ち始めた。「急な雨宿り…
一人暮らしの生活の基盤をある程度整え終わった頃には大学のオリエンテーションを踏まえて正式な大学生の一人として 充実した日々を過ごしている。私の学部は心理学だ。心理学と言っても大きく分けて基礎心理学と応用心理学に別れている。 その中で経済活動…
私が借りている部屋は殺風景だ。必要最低限の家具・家電・調理器具・服しか用意していない。 服については季節の変わり目になる度に実家に戻って交換する予定だ。 そんなミニマリストな私の就寝方法はカーペットの上にパネルカーペットを敷いた床に 毛布をか…
正直私はずっとこの時を待っていた。県内で有数の私立大学に合格し 実家を出て一人暮らしを実現できるこの時を。私はアルバイトで働きながら大学に通い 自分の力で社会に飛び立つことを目指して意気揚々と物件を探した。 最初の家賃や生活必需品はやむなく両…
私はとある大学に通う現役の大学生だ。 諸事情により駅直結のタワーマンションで一人暮らしをしている。 私にはスマホの連絡アプリで呼べば3分で来てくれる まるでインスタントラーメンの様なお手伝いさんがいる。 私が物心ついた頃からお世話をしてもらって…
「お久しぶりですデザイナー先生。相変わらず元気そうで何より何より」俺はわざとらしく望月茜に被せて応答する。「久しぶりって…3日前にリモート会議しながらプロジェクトを共にしてたんだけどなぁ」望月は苦笑いを浮かべる。「すまない。現在俺は進行系で…
俺はキャリーワゴンをゴロゴロ押してリサイクルショップ『アンサンブル』の自動ドアを通る。店内からは最近流行っている楽曲が流れている。「いらっしゃいませー」入り口左側にあるカウンターから複数人の店員さんの声が響き渡る。俺は慣れた足取りで買取カ…
ある日の昼さがりのこと。俺は顔馴染みのシステム開発会社の企業の担当の方プランナーさんとの打ち合わせとクラウドソーシングで受注した地方の町おこし組合の方に依頼されていた簡易的な名産品の在庫管理・発注・発送管理システムの納品を行なった。納品し…