2026-01-01から1ヶ月間の記事一覧
夢奏でる摩天楼と、混沌の街都心のターミナル駅に直結する、空を突き刺すようなガラス張りの巨塔。「メトロポリス・アーク」。 この超高層マンション40階から45階通称「インキュベーション・フロア」には、一風変わった住人たちが暮らしている。僕、タクヤも…
エレベーターが滑るように下降を始める。 40階から地上への移動は、単なる位置エネルギーの解放ではなく、選ばれた者の聖域から、混沌とした現実世界へのダイブを意味していた。 表示板の数字が小さくなるにつれて、タクヤの耳の奥で、まだ鳴っていない音楽…
「——というわけで、今日の配信はここまで。みんな、最後まで聴いてくれてありがとう。また次の新曲で会おう」 配信停止のボタンをクリックすると、画面の向こう側の熱狂がプツリと途絶え、静寂が戻ってくる。 タクヤはふう、と大きく息を吐き、ヘッドフォン…
雨が降っているらしい。 らしい、というのは、この「タワー」に住んでからというもの、私が天気を肌で感じる機会が極端に減ったからだ。俺の住むマンションは、巨大なターミナル駅と、数百のテナントが入るショッピングモールに直結している。 玄関を出て、…
東京ネオセントラル駅の改札を抜け、地下通路を直進すること徒歩一分。喧騒を置き去りにするような静謐なエントランスが口を開けている。地上五十階建て、都市のランドマークでもある超高層マンション『アカシック・タワー』。その威容を見上げ、タクヤは生…
「あけましておめでとう、サク。起床時間です。本日の地下街の人工天候は『快晴・無風』。絶好のニューイヤー日和です」サポートドローンコノの無機質な声で、俺、サクは目を覚ました。 ディープ・トーキョー、第肆層(フォース・レイヤー)。 人工太陽の光…
【TIME 08:00】 起床、あるいは強制起動画面には、薄暗い部屋で布団に包まる巨大な芋虫(サク)が映し出されている。 カメラ(コノ)のズームレンズが、その無防備な寝顔に寄る。ナレーション(コノ音声): 『おはようございます。こちらは地下街都市第肆層…